マイホームといえば、何と言っても自分たちの希望を叶えられる注文住宅が魅力的です。
注文住宅は予算をある程度自由に設定することができるという特長があります。
そこで今回は、予算ごとの建てられる一戸建ての特長や、予算を決める際のポイントについて解説します。
注文住宅の費用の内訳について
そもそも注文住宅を建てるためには、どのようなものにいくらの費用がかかるのでしょうか。
詳しく見ていきましょう。
・土地の購入費用
注文住宅を建てる際の予算の中で多くの割合を占めるのが土地の購入費用です。
都内で一戸建てを建てる場合は、特に土地購入費用が高額になる傾向にあります。
また、すでに所有している土地に注文住宅を建てる場合、この費用は不要です。
但し、地盤が弱い土地の場合や整備がされていない土地の場合、別途土地改良費用がかかることがあります。
・建築費用
一戸建て本体の建築費用です。
これには、基礎工事や外装工事、内装仕上げや住宅機器設備工事など一戸建ての完成に必要なすべての工事が含まれます。
また、注文住宅の工事を依頼する先によっても、建築費用は異なってきます。
一般的には、大手ハウスメーカー、中小建築会社、街の工務店の順に費用が抑えられる傾向があります。
また、人気の建築設計事務所に依頼する場合も、費用が高めになることがあります。
▷本体工事費用と別途工事費用についてもっと知る
・諸手続き費用
一戸建てを取得する時に、その土地や建物の所有者をはっきりさせるために「登記」を行います。
この不動産登記手続きにあたり次のような費用がかかります。
もともと土地を所有している場合は、建物のみの分が必要となります。
1.登録免許税
2.司法書士報酬
3.その他実費(交通費や登記事項証明書取得費用など)
注文住宅を建てるためには、これらの項目ごとに予算を割り振っていき、最終的な合計金額を予算内に抑えなければなりません。
建築費ごとの一戸建ての特長について
このように注文住宅を建てるためには、複数の項目に予算を割り振る必要がありますが、やはり中心となるのは建築費です。
建築費の予算をいくらとするのかが、注文住宅の予算組みにおいて最も重要であると言えます。
なお、住宅金融支援機構がフラット35の利用者を対象に行った、2016年の統計調査(※)によると、注文住宅の住宅面積は全国平均で129.3m2、建築費の平均が3308.2万円との結果でした。
このことから、注文住宅の建築にかかる費用については3,000万円台くらいが相場だと言えます。
では、予算ごとにどのような注文住宅を建てることができるのでしょうか。
今回は土地の購入費を除く建物の予算別の特徴について解説します。
※ 住宅金融支援機構「フラット35利用者調査」
建築費予算1,000万円台の場合
注文住宅で建築費が1,000万円台となると、予算としては相場よりもかなり低く抑えることになります。
そのため、無駄を極限まで省いて、シンプルな一戸建てを建てるというイメージになります。
1,000万円台で建設する場合は、床延べ面積が90~110m2になることが多いと思います。
まず、建物の形状については、真上から見た場合に、長方形や正方形以外の特殊な形状をした設計にすると、外壁の面積が増えるため材料費がかかって予算をオーバーしてしまいます。
そのため、真上から見て長方形や正方形になるような単純な設計となります。
外壁もレンガなどの仕上げ材は使いません。
また、屋根についても屋上を設置すると予算がオーバーするため、片流れの屋根等にすることになるでしょう。
片流れとは、屋根が一方の方向に向かって傾斜している屋根のことで、低コストである点が特長です。
その他、住宅内の設備についても、浴室換気乾燥機など多機能なものは極力使わず、最低限の機能のみ搭載されている製品を使うことになります。
また、建築を請け負っている会社に在庫として残っている設備機器がある場合は、それらを優先して使う可能性もあります。
総合的にシンプルな注文住宅となるため、施工日程については、一般的な注文住宅よりも完成が早くなるでしょう。
また、工事の発注先としては、街の工務店など小規模な会社や、ローコスト住宅を謳う会社に依頼するイメージとなるでしょう。
建築費予算2,000万円台の場合
このぐらいの予算が取れると、家のグレードを少しずつ上げることが可能になってきます。
例えば、1,000万円台の予算では妥協せざるを得なかった次のような点について、実現できる可能性が出てきます。
2,000万円台で建設する場合は、通常床延べ面積が110~120 m2くらいになることが多いと思います。
・外壁の仕上げにタイルを使う
・キッチンやバスルームに最新式の設備を導入できる
・バルコニーや窓の数を増やせる
その他、使用する建材や部材について、最も安価な量産品だけではなく、部分的にこだわりのある素材のものを使用することも可能になります。
全ての希望を実現することは難しいかもしれませんが、優先順位の高い希望については実現できる可能性があると言えるでしょう。
発注先のイメージとしては、街の工務店や中小企業の建築会社などが考えられます。
建築費予算3,000万円台の場合
注文住宅における全国平均の予算に近いため、おおむね希望する一戸建てを建てられる予算と言えるでしょう。
3,000万円台で建設する場合は、通常床延べ面積が120~130㎡になることが多いと思います。
また、都内の場合は敷地が狭かったり、いびつな形をしていたりする土地が多いのですが、3,000万円台の予算があれば正方形や長方形ではなく、敷地を有効に活用した形の一戸建てを建てることができます。
塀や柵などの外構を設置するなど、見た目にもある程度こだわることも可能になります。
また、等級の高い良質なフローリングを使用したり、場合によっては床暖房を入れたりすることもできます。
自分たちの希望の大半を実現するためには、3,000万円台以上の予算が必要になると言えるでしょう。
ここまで予算を確保できれば、大手ハウスメーカーのクオリティの高い注文住宅も視野に入ってくるでしょう。
自分に合う一戸建てを選ぶために
このように、建築費にかけられる予算によって、注文住宅のクオリティは大きく異なってきます。
予算が潤沢にあるようであれば、予算をかけた分だけ希望は実現できるでしょう。
しかし、現実的には予算はある程度限られてきますから、その限られた予算の中で建築費にどの程度の予算を投じるかがポイントになってきます。
ここでは、タイプ別にいくらの予算が適しているのかについて解説します。
立地にこだわりたい場合
最寄駅や路線、さらには駅からの距離など立地にこだわりたい場合、土地購入に対する予算配分が多くなります。
そうなると、建築費用についてはある程度削減する必要が出てくるため、1,000~2,000万円程度の予算で検討する方が良いでしょう。
内外装の希望をできる限り叶えたい場合
注文住宅を購入する人の多くは、自分の希望に合った一戸建てを手に入れる事が目的のはずです。
そうなると、やはり建築費の予算については3,000万円以上確保する必要があります。
立地を多少妥協してでも、建築費に予算を回しましょう。
とにかく安く抑えたい場合
とにかく低予算に抑えることを目的として建てるようであれば、1,000万円台の予算でも家を建てることは可能です。
もしも建築予算1,000万円台で検討したい場合は、別の建売住宅や中古住宅も含めて検討すると選択肢が広がるでしょう。
このように、注文住宅を建てる際の予算編成については、何を優先したいのかによって、先に予算を確保する項目が変わってきます。
立地優先であれば土地購入費用、建物優先であれば建築費用から予算を割り振ると、希望する注文住宅により近づけられるでしょう。
注文住宅は予算管理が重要
注文住宅のメリットは、自分たちの希望が叶えられる点にありますが、すべての希望を叶えられるわけではありません。
予算を決めないまま、希望ばかりを不動産会社や建築会社に伝えてしまうと、あっという間に予算オーバーとなってしまいます。
まずはある程度の予算を決めて、その予算の範囲内で建築可能な注文住宅のプランをアドバイスしてもらうと良いでしょう。
●まとめ●
・注文住宅の購入にかかる費用の内訳は主に、土地購入費用、建築費用、諸費用である
・希望をある程度叶えるためには3,000万円台程度の建築費予算が必要
・不動産会社にあらかじめ予算を伝えることが大切