賃貸マンションは建物の構造が多種多様であり、総階数によっておおまかに種類を分けることが可能です。
明確な定義があるわけではないものの、一般的に3~5階建て以下のマンションは「低層マンション」と呼ばれ、それ以上の階数を持つ「高層マンション」とは異なる特徴を持っています。
今回は、低層マンションの特徴や魅力について、高層マンションと比較しながら紹介していきます。
目次
1.低層マンションの3つのメリット
1.静かで落ち着いた住環境
2.地上までラクに下りることができる
3.柱や梁(はり)のないすっきりとした間取り
2.低層マンションの2つのデメリット
1.家賃や管理費が高額になりやすい
2.駅や主要な商業施設から離れていることが多い
3.まとめ
低層マンションの3つのメリット
低層マンションは、高層マンションにはないさまざまな魅力があります。ここでは、低層マンションが持つメリットを3つに分けて見ていきましょう。
静かで落ち着いた住環境
低層マンションの魅力の1つは、閑静な住環境にあります。低層マンションが建てられるのは、「第一種低層住居専用地域」や「第二種低層住居専用地域」が多く、この地域は静かな住宅街になりやすいのが特徴です。
低層住居専用地域には、10~12mの高さ制限があり、高層の建物を建てることはできません。さらに大きな店舗や遊戯施設、工場といった建物の建設も認められていないため、一戸建てなどが多い閑静な地域となるのです。
また、低層住居専用地域は、そのほかの地域と比べて建ぺい率が低く定められています。敷地全体に対する建物の面積の割合が低いため、緑地が多くなったり、駐車場に余裕が生まれたりするのもメリットです。
一方で、高層マンションは高さ制限のない中高層住居地域や商業地域、大きな道路に面したところなどに建てられます。そのため、低層マンションの住環境と比べると、やや静けさに欠けてしまう部分があるのです。
地上までラクに下りることができる
階数の少ない低層マンションの利点は、地上までの動線が快適なところにあります。エレベーターの利用が欠かせない高層マンションと比べて、階段でも地上へ下りることが可能です。
そのため、日常生活においてはエレベーター待ちのストレスを感じることがなく、災害時にあっても避難経路の面で安心感があります。
柱や梁(はり)のないすっきりとした間取り
多くの低層マンションでは、柱と梁の代わりに壁で建物の荷重を支える「壁式構造」が採用されています。壁式構造には耐力壁という厚みのある素材が使われており、防音性や断熱性、さらには耐震性にも優れているのが大きな特徴です。
また、柱や梁を必要以上に使わないことで、室内に余計な凹凸がなくなります。出っ張りのないすっきりとした空間をつくることが可能なため、家具をきれいに配置しやすいのです。
法令などによって、壁式構造を使えるのは通常5階以下の建物に制限されているため、高層マンションにはない魅力の1つだといえます。
低層マンションの2つのデメリット
さまざまな魅力を持つ低層マンションには、いくつかのデメリットもあるため、特徴を理解したうえで検討することが重要です。
高層マンションと比較をしながら、難点となりやすい部分について見ていきましょう。
家賃や管理費が高額になりやすい
低層マンションは階数の多い高層マンションと比べて、土地当たりの総戸数が少なくなるため、家賃が高額になりやすい傾向にあります。
また、多くの居住者で費用を分担することができる高層マンションとは異なり、管理費などが高くなってしまう場合もあります。
戸数が少ないことで、管理はきめ細かになりやすいといったメリットもあるため、コスト面とのバランスを検討することが重要です。
駅や主要な商業施設から離れていることが多い
低層マンションがつくられる低層住居専用地域は、静かで落ち着いている半面、駅からは離れている場合が多いといえます。
中心地につくられる高層マンションと比べて、利便性が低くなってしまう点は、見過ごせないデメリットの1つです。主要な商業地域からは離れていることも多く、買い物などが不便に感じられてしまう場合もあります。
通勤で電車を使う人や日常生活であまり車を使わない人にとっては、住みづらいと感じてしまうケースもあるのです。
低層マンションの賃貸を考えるうえでは、建物だけではなく周辺環境にも気を配っておくことが大切です。
まとめ
・低層マンションがつくられる地域は、静かで落ち着いた住環境となる場合が多い
・建物の構造上、地上までの動線をラクに確保できる
・壁式構造によって凹凸のないシンプルな部屋をつくることができる
・家賃や管理費が高くなりやすいといったデメリットもある
・駅や主要な商業地域から離れている場合もあるため、周辺環境にも目を配ることが重要